カリス・オンライン聖霊降臨前夜祭 教皇フランシスコのメッセージ

2020年5月30日
https://youtu.be/Mb4KquWptTw

教皇フランシスコのメッセージ

「五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると(……)。」

 このように、私たちが耳にしたばかりの『使徒言行録』の第二章は始まります。そして、技術の進歩のおかげで、今日も、私たち皆、世界中の様々な地域から集まった信者たちが、聖霊降臨前夜に集まっています。
 物語は続きます。「突然,激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして,炎のような舌が分かれ分かれに現れ,一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ(……)」 (使徒言行録2・2−4)。
 聖霊は弟子たち一人一人の上に、私たち一人一人の上に、来てとどまっておられます。イエスが約束してくださった聖霊は、私たち一人一人を新たにし、回心に導き、癒すために来られます。聖霊は、私たちの恐れを、それは実に多いのですが、どんな恐れも不安もいやすために来られます。聖霊は来て、私たちの傷を、私たちが互いに与える傷を癒してくださいます。そして、私たちを弟子、宣教する弟子、勇気と使徒的大胆さに満ちた証人にするために、聖霊は来られます。
 今日、私たちはこれまで以上に、御父から聖霊を送っていただく必要があります。『使徒言行録』の第一章で、イエスは弟子たちにこう言われます。「エルサレムを離れず、前にわたしから聞いた、父の約束されたものを待ちなさい。ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられるからである」(4節)。そして、8節でイエスはこう言われます。「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリヤの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」
 イエスの証し。聖霊は私たちをこの証しに導いてくださいます。今日、世界は苦しんでいます。傷ついています。私たちは傷だらけで苦しむ世界に住んでいます。特に見捨てられた貧しい人たちが苦しんでいます。私たち人間の安全保障がすべて消えてしまった今、世界はイエスを与えてくれる私たちを必要としています。世界は私たちが証しする福音、イエスの福音の証しを必要としています。そして、私たちはその証しを聖霊の力によってのみ与えることができるのです。
 学んだ教訓をもってこの瞬間と未来に私たちが立ち向かうためには、私たちに新しい目を与えて心も頭も開いてくださる聖霊が必要なのです。私たちは、一つの人類です。私たちは自分の力では救われません。自分を救える者は誰もいません。例外はありません。聖パウロは『ガラテヤの信徒への手紙』でこう言っています。「もはや、ユダヤ人もギリシア人もなく、奴隷も自由な身分の者もなく、男も女もありません。あなたがたは皆、キリスト・イエスにおいて一つだからです」(ガラテヤ3・28)。そうであるのは、私たちが聖霊の力で結ばれており、イエスが約束された聖霊による洗礼を受けたからです。私たちは過去においても現在においてもそれを知っていましたが、私たちが生き抜こうとしているこのパンデミックは、もっと衝撃的な方法でこのことを私たちに体験させてくれました。
 私たちの前にあるのは、新しい現実を築き上げる義務です。主がそれを成し遂げてくださいますが、私たちは協力者となれます。「見よ、わたしは万物を新しくする」と主は言われます(黙示録 21・5)。
 私たちがこのパンデミックから抜け出した時、私たちは今までしてきたことを、今まで通りにはできなくなるでしょう。いや、すべてが違ったものになるでしょう。名目ではなく現実にキリスト者としての行動に導かれるような、より公正で、より平等で、よりキリスト教的な社会を一丸となって築かなければ、このすべての苦しみは無意味なものになってしまいます。世界の貧困というパンデミック、私たちのそれぞれの国の貧困というパンデミック、私たちが住んでいる市町村の貧困というパンデミックを終わらせるために私たちが働かなければ、この時代は無駄に過ぎ去ってしまうでしょう。
 人類の大きな試練から、そしてその中でも今回のパンデミックから、私たちはより良い人間として出て来るか、より悪い人間として出て来るか、二つに一つです。決して今までと同じではないのです。
 皆さんに尋ねます。あなたは、どんな人間として出て来たいですか。より良い人間としてですか、より悪い人間としてですか? だからこそ、今日、私たちは聖霊に心を開くのです。聖霊が私たちの心を変え、私たちがより良い人間として出て来るように助けてくださいます。
 「お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、(……)旅をしていたときに宿を貸し、(……)牢にいたときに訪ねてくれたからだ」(マタイ25・35−36)と裁きの場でイエスに言っていただけるように生きなければ、私たちはより良い人間になることはできないでしょう。
 そして、これはすべての人の課題であり、私たち全員の課題です。同時に、カトリック・カリスマ刷新のあらゆる現実の一致と交わり、コムニオであるCHARISの皆さんの課題でもあります。
 1970年代にスーネンス枢機卿とエルデル・カマラ大司教が著したマリーヌ(メヘレン)文書の第3巻は、『カリスマ刷新と社会活動―対話』という書名です。この文書には、この恵みの潮流に至る道が示されています。聖霊のこの呼びかけに忠実でありなさい!
 第二バチカン公会議の開催を発表した際の教皇ヨハネ23世の預言的言葉は、カリスマ刷新の皆さんも特に大切にしていますが、その言葉が今、私の心にも浮かんできます。「神の霊が、世界の隅々から日々立ち上る祈りに最も慰めに満ちた形で答えてくださいますように。この私たちの時代に、あたかも新しい聖霊降臨のように、あなたの驚くべき業を新たにしてください。そして、聖なる教会がイエスの母マリアと心を一つにした祈りで絶えず結ばれ、ペトロに導かれて、 神の救い主の王国を、真理と正義と愛と平和の王国を広げて行きますように。」
 この聖霊降臨前夜、皆さん全員に聖霊の慰めがありますように。そして、このパンデミックという苦しみと悲しみと試練の時代からより良い者となって抜け出す聖霊の力があなたがたにありますように。

主の祝福と聖母の守りがあなたがたにありますように。

[訳注]
•この日本語訳は、C H A R I S公式サイト掲載のスペイン語原文と英訳を元に作成されました。
*動画(スペイン語、英語字幕付き)
Pope Francis video message to CHARIS during Pentecost 2020
https://youtu.be/_nRtXckzKJE
*スペイン語全文
https://drive.google.com/file/d/1e2WEHufEvWbkadCu8cBgm0IMR87Fpm54/view
*英訳全文
https://docs.google.com/document/d/1TGkTPooFQN5CJTsbPeZdzmbSrz1GWsnvJVS5IjBlW3k/edit
•聖書の言葉は全て日本聖書協会刊『新共同訳聖書』から引用しています。
[日本語訳および訳注・小熊晴代]

2020年06月11日